「SEO対策をしないと」と言われて調べると、被リンク、ドメインパワー、月に何本の記事、という話が出てきます。それを読んで、うちには無理だと感じた製造業の会社は多いはずです。ただ、製造業のSEOは、その常識とは別のところにあります。狙う言葉が違い、ページの作り方が違い、やらなくていいことがはっきりしています。この記事では、Googleの公式ガイドと、発注側の設計者への調査、続けた会社の数字をもとに、製造業のSEOで最初にやることを3つに絞って書きます。
製造業のSEOは、検索数が小さい言葉が本体
一般のSEOでは、月に数千回、数万回検索される言葉で上位を取るために、大量の記事と外部からのリンクが要ります。製造業では、その勝負をしません。
理由は、発注側が検索する言葉にあります。大手メーカーの開発設計者4名への聞き取り調査では、外注先を探すときの検索語は、材料名(SUS304、PTFE、チタン)、加工法(絞り、鍛造、切削、コーティング、押出)、部品名、OEM、大量ロット、一貫生産などで、設備名や地域名で検索することは少ないという結果でした(テクノポート調査、MONOist 2024年4月掲載。詳しくは「製造業のBtoBサイト制作」の記事に書きました)。
こうした言葉の検索数は小さいです。参考までに、Googleのキーワードプランナーで2026年9月に調べた数字では、「製造業 SEO」は月140回、「製造業 ホームページ」は170回、「製造業 人手不足」でも480回でした(当社調べ)。「SUS304 絞り加工」「チタン 切削 小ロット」のような組み合わせは、さらに小さく、月に数十回、あるいは数回です。
ただ、その数回の検索は、図面を持って外注先を探している人の検索です。製造業専門の制作会社は、こうしたニッチな言葉について「検索ボリュームは少ないが、ニーズが絞り込まれているので受注しやすい」「加工業では、図面に載っている情報がそのまま検索キーワードになる」と説明しています(テクノポート「製造業のためのSEO対策・完全ガイド」)。
つまり、製造業のSEOは、検索数の大きい言葉で戦うのではなく、検索数の小さい言葉を、自社が対応できる範囲で1つずつ拾っていく作業です。競合は少なく、大量の記事も外部リンクも要りません。要るのは、材料と加工の組み合わせごとに、きちんと書かれたページです。
Googleが「やらなくていい」と言っていること
やることの前に、やらなくていいことを切っておきます。Google検索セントラルの「SEOスターターガイド」に、はっきり書かれています。
- メタキーワード(ページに埋め込むキーワードのタグ): 「Google検索はキーワードメタタグを利用しません」
- キーワードの詰め込み: 同じ言葉を不自然に繰り返すのは、スパムに関するポリシーの違反にあたる
- ドメイン名にキーワードを入れる: ランキングの観点では、効果はほとんどない
- 見出しタグ(h1、h2)の数や順番: 意味の順で使うのが望ましいが、ランキングに直結するものではない
古いSEO業者の提案書に、この4つのどれかが「対策項目」として載っていたら、そこは金額に見合いません。逆に、同じガイドが「重要」と言っているのは、ページごとに固有で内容を正確に表すタイトル、ページごとに固有で要点を簡潔に書いた説明文、他人のコンテンツをコピーしない独自の内容、画像が何かを表すalt属性、リンク先が分かるリンク文言です。どれも、外注しなくても自社で確かめられます。
最初に直す3か所
上の2つを踏まえると、製造業のサイトで最初に直すのは次の3か所です。
1. 各ページのタイトルと説明文
検索結果に出るのは、ページのタイトル(title)と、その下の説明文(meta description)です。設計者は、この2つに検索語があるか、その前後に技術情報や実績の具体例が見えるかで、開くかどうかを決めています(上の聞き取り調査)。
よくある状態は、全ページのタイトルが「株式会社〇〇」だけ、説明文が空か全ページ同じ、というものです。Googleのガイドどおり、ページごとに固有にします。加工のページなら「SUS304・アルミの絞り加工|板厚0.5〜3mm・試作1個から|株式会社〇〇」、説明文には対応できる材質、サイズ、ロット、納期の目安を1〜2文で。会社名と所在地はタイトルに入れて構いません。
2. 加工・材質ごとに1ページ
「事業内容」の1ページに、切削、板金、溶接、表面処理を全部書いているサイトは、どの検索語にも中途半端に当たり、どれでも上位に出ません。製造業専門の制作会社が「1キーワード1ページ」を基本にしているのはこのためです(テクノポート、同上)。
Web制作者が動画で話していたとおり、探す側は「プレス加工」「穴あけ加工」と1つのことだけを検索します。まとめると見つからず、技術力で劣る会社でもページを分けているところのほうが問い合わせを取っていきます(YouTube「製造業でやるべきWebページの分類方法」)。愛知県のネジのプレス加工の町工場が「六角穴打ち加工」の1つに絞ったページで全国から受注した話は、「製造業のBtoBサイト制作」の記事に書きました。
分け方は、自社が受けたい仕事の単位です。材質×加工(「チタン 切削」「SUS 絞り」)、部品の種類(「シャフト 加工」「ブラケット 板金」)、条件(「小ロット」「短納期」「一貫」)。1ページに、その組み合わせで対応できる範囲、実績の写真、納期の目安、問い合わせの入口を置きます。
3. 強みを数字で書く
ページに何を書くかで、順位も問い合わせも変わります。製造業のポータルサイトを運営する会社の担当者が、対談動画でこんな趣旨のことを話していました。「高精度な加工ができます」ではなく、「この形状で±5ミクロン」「この材質でこの精度」と定量で書く。「短納期」も、「この形状でこの数量なら3日」まで落とす。品質・コスト・納期を要素に分解して、発注側が選ぶ理由に合わせて書く、と(YouTube「良質なお問い合わせを獲得できる製造業様向けWEBサイトの作り方」NCネットワーク)。
数字で書くと、検索する側の「±0.01 切削」「3日 納期 板金」のような具体的な言葉にも当たるようになります。数字は、SEOのためというより、発注側が3〜5社を比べるときの材料です。
地域名はどこに書くか
設計者は地域名で探さない、と書きました。では地域名は要らないのかというと、書く場所が違います。求職者は「〇〇市 金属加工 求人」で探しますし、近隣の会社が「〇〇市 溶接」で探すこともあります。地域名は、会社概要と採用ページのタイトルに入れ、加工ページは材料と加工に集中させます。Googleビジネスプロフィール(地図に出る会社情報)の整え方は、別の記事にまとめます。
続けた会社の数字
製造業のSEOは、1回で終わりません。対応できる材料と加工の組み合わせを1つずつページにし、実績を足していく作業です。続けた会社の数字を2つ挙げます。どちらも制作会社の事例紹介なので、その点は割り引いて読んでください。
産業用省力機械・専用機の設計製作をする愛知県の会社は、1年目は2か月に1回、2年目から毎月、技術的な内容のページを更新し続けた結果、Webからの問い合わせが1年目の16件から3年目に47件、自然検索からの流入は初期の5倍以上になりました(テクノポート事例「名古屋精工株式会社」)。
宮城県の金属加工会社は、2026年2月から週1本のペースで加工方法や技術用語のページを投稿し、検索3位以内に入る言葉の数が1月のほぼ0から4月に約70、9月に102になり、「ホームページを見て」という電話での新規受注が2件ありました。広告費は0円です(convy「製造業のSEO対策を実データで解説」)。
どちらも、月に数万回検索される言葉で1位を取った話ではありません。検索数の小さい言葉を、100語まで積んだ話です。
SEO業者の月額提案を受けたときの質問
「月額〇万円でSEO対策」という提案を受けたら、次の3つを聞いてください。
- 狙う言葉は何か。材料名や加工名の具体的な組み合わせが出てこず「製造業 〇〇市」のような大きい言葉だけなら、設計者の検索とずれています
- 何をするのか。上の「やらなくていい4つ」が項目に入っていないか
- 作ったページの権利と、契約を終えたあとにページが残るか。SEOのために作った記事が業者のものになる契約もあります。見積書で確認する項目は「製造業のホームページ制作会社の選び方」の記事にまとめました
まとめ
- 製造業のSEOは、検索数が小さい「材料名×加工名」を1つずつ拾う作業。大量の記事や被リンクの勝負ではない
- メタキーワード、キーワードの詰め込み、ドメイン名のキーワードは、Google公式が「効果がない・違反」と書いている
- 最初に直すのは、ページごとのタイトルと説明文、加工・材質ごとの1ページ、数字で書く強み、の3か所
- 地域名は会社概要と採用ページに。加工ページは材料と加工に集中
- 続けた会社は、問い合わせ16件→47件、上位語0→102語。1回では終わらない
製造業の会社のためのホームページ制作サービス「製造WEB」では、加工・材質ごとのページを最初から分けて作り、タイトルと説明文をページごとに書きます。公開後に加工ページと実績を足していく作業も続けて担当します。いまのサイトのタイトルが全ページ会社名だけになっている会社は、ご相談ください。
