「実績ページを作りたいが、取引先の社名も製品も出せない」。製造業のホームページで実績ページが空のままになっている理由は、ほぼこれです。この記事では、社名を出さずに実績を書く方法と、1件に載せる項目、増やし続ける型を書きます。実績がなぜ最重視されるかは「製造業のBtoBサイト制作」の記事に、写真の撮り方と写り込みの確認は「工場の写真の撮り方」の記事にあります。
なぜ実績が最重視されるか
大手メーカーの開発設計者4名への聞き取りでは、外注先のサイトで最も重視するのは製品や取引先の実績で、ISO認証はさほど重視されていませんでした。設計者が検索するのは材料名と加工名の組み合わせで、探しているのは「この材質を、この形状で、この精度で、作ったことがある会社」です。実績ページは、その質問に答える唯一のページです。業務用製品の購入決定に関わる200名への調査でも、見たい情報として「導入事例」が39%、比較検討するのは3〜5社が60%でした。比べられる3〜5社の中で、実績が並んでいる会社と空の会社では、選ばれ方が違います。
1件に載せる7項目
実績1件に載せるのは、次の7つです。以下の例は架空です。
- 写真(加工面が分かる1枚。可能なら加工前と加工後)
- 材質(SUS304、A5052、S45C など)
- 寸法(外径、板厚、長さ。おおよそで可)
- 数量(試作3個、量産月500個 など)
- 用途・業界(自動車部品、食品機械、半導体製造装置 など。差し支えない範囲で)
- 納期(受注から何日で納めたか)
- 工夫した点(薄板の歪みを抑えるために治具を作った、公差±0.01mmを三次元測定機で保証した など)
例: 「SUS304 板厚1.0mm の絞り加工。外径80mm、深さ40mm。試作5個、その後月200個で量産。食品機械の部品。図面受領から初回納品まで12日。絞り時の割れを防ぐため、材料の圧延方向を指定して板取りした」
7項目で100〜150字。これで1件です。5件あれば、設計者の質問に答えるページになります。
出せないものと、出せるもの
| 出せないもの | 出せるもの |
|---|---|
| 取引先の社名 | 取引先の業種(自動車部品メーカー、建機メーカー) |
| 製品名・型番 | 部品の種類(シャフト、ブラケット、ケース) |
| 図面そのもの | 材質、寸法の目安、公差 |
| 取引先の刻印・ロゴが写った写真 | 加工面だけを写した写真、加工前後の比較 |
| 納品書、注文書 | 数量、納期の日数 |
| 取引先との秘密保持に触れる仕様 | 自社の工夫(治具、段取り、検査方法) |
取引先の刻印や製品名が写っている写真は、載せる前に拡大して確認します。迷う案件は、取引先に「業種と材質と寸法だけで実績として載せてよいか」と一度聞きます。多くの場合、社名と製品名を出さなければ問題になりません。それでも断られた案件は載せず、別の案件を書きます。
1件目を今日書くための質問5つ
実績ページが空のまま半年経つのは、「全部の実績を整理してから」と考えるからです。1件目は、現場の担当者に次の5つを聞けば、10分で書けます。
- 先月、一番手間がかかった仕事は何ですか(材質と加工)
- 寸法と数量はどのくらいでしたか
- 何に使われる部品ですか(業界だけで可)
- 受注から納品まで何日でしたか
- その仕事で、うちならではの工夫は何でしたか
5つ目の答えが、他社と差がつく1行になります。加賀の町工場が、ベテランの頭の中にあった仕事のやり方をホワイトボードに書き出すのに1年半かかった話を「製造業の後継者不在とホームページ」の記事に書きましたが、実績ページは、その見える化を1件ずつ、外に向けてやる作業でもあります。
増やし続ける型: 1件1ページ、タイトルは材質×加工×用途
実績は、1ページに一覧で並べるだけでなく、1件ずつページを分けます。タイトルは「SUS304 板厚1.0mm 絞り加工|食品機械の部品」のように、材質×加工×用途。設計者が検索する言葉が、そのままタイトルになります。Googleの公式ガイドはページごとに固有のタイトルと説明文を求めているので、一覧だけでは検索に出ません。
産業用機械の会社が毎月の更新を3年続けて問い合わせが16件から47件になった話、宮城の金属加工会社が週1本の投稿で検索上位の言葉を0から102に増やした話は「製造業のSEOは『材料名×加工名』から」の記事に書きました。どちらも、実績と加工の情報を1つずつ足し続けた結果です。月1件、上の5つの質問で書いて、1件1ページ。1年で12件、3年で36件の入口になります。愛知県のネジのプレス加工の町工場が「六角穴打ち加工」の実績で全国から、航空・宇宙産業からも受注した話も、実績が用途と一緒に書かれていたから届いたものです。
まとめ
- 設計者は実績を最重視する。実績ページが空なのは「社名が出せない」からだが、社名は要らない
- 1件に載せるのは、写真、材質、寸法、数量、用途・業界、納期、工夫した点の7項目
- 出せないのは社名・製品名・図面・刻印。出せるのは業種・材質・寸法・数量・納期・自社の工夫
- 1件目は現場に5つ聞けば10分で書ける
- 1件1ページ、タイトルは材質×加工×用途。月1件で増やし続ける
製造業の会社のためのホームページ制作サービス「製造WEB」では、担当者が毎月、現場の方に上の5つを聞いて、実績を1件ずつページにします。実績の追加は月額に含みます。実績ページが空のままの会社は、先月一番手間がかかった仕事の話から、ご相談ください。
