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加工範囲の書き方|「できること」だけでなく「断る条件」を書く理由と、材質×加工×サイズの表

加工範囲の書き方

「小ロットから大量生産まで、何でもご相談ください」。製造業のホームページで一番よく見る一文で、一番損をしている一文です。この記事では、なぜ「何でも」が損なのか、対応範囲に何を書くか、断る条件を書くと何が起きるかを書きます。ページ全体の構成は「製造業のBtoBサイト制作」の記事に、設備ページは「設備紹介ページの作り方」の記事にあります。

相手は「範囲」を探している

大手メーカーの開発設計者4名への聞き取りでは、新しい外注先を探すのは「既存のサプライヤーでは対応できないとき」で、検索語は材料名、加工法、部品名、ロット数、一貫生産などの組み合わせでした(テクノポート調査、MONOist 2024年4月)。メーカーが新規の取引先を探す理由も、既存で対応できない技術、安定供給、後継者不足で今の発注先に頼めない、といった「範囲の外に出た」ときです。

つまり、相手が知りたいのは「何でもできるか」ではなく「うちのこの図面が、この数量で、この納期で、できるか」です。範囲が書いていないサイトは、その質問に答えないので、候補に入りません。「何でも」と書くと、検索の言葉にも当たらず、開いた人にも判断させられず、問い合わせをためらわせます。

「何でも」が招く、もう1つの損

範囲を書かないと、合わない問い合わせが来ます。1個だけの試作、対応していない材質、設備に載らないサイズ、来週納品。断るための返信に時間を取られ、本命の問い合わせへの返信が遅れます。製造業のA社がフォームで先に情報を集めて返信の型を作り、返信を3〜5日から24時間以内にしたところ、商談化率が30%から50%に上がり、対応時間が3分の1になった話は「製造業の問い合わせを増やす」の記事に書きました。対応範囲をサイトに書いておくことは、その前段です。書いてあれば、合わない問い合わせは来る前に消え、合う問い合わせだけが残り、返信が速くなります。

対応範囲に書く8項目

  1. 材質(対応する材質の一覧。「その他は要相談」を添える)
  2. サイズ(最大と最小。板厚、外径、長さ、テーブルサイズ)
  3. 精度(公差の目安、面粗さ。「この形状で±何ミクロン」と数字で)
  4. ロット(試作1個から受けるか、量産の上限は月何個か)
  5. 納期(試作の最短、量産の目安。「この数量なら何日」)
  6. 図面の形式(PDF、DXF、STEP。現物からの製作を受けるか)
  7. 二次加工・一貫生産の範囲(熱処理、めっき、塗装、組立をどこまで社内・協力先で受けるか)
  8. 受けない条件(個人からの依頼、対応外の材質、設備に載らないサイズ、リードタイム以下の納期)

8つ目が、多くのサイトに無い項目です。書くと問い合わせが減りそうに見えますが、減るのは合わない問い合わせだけです。

表の型: ○・要相談・×

対応範囲は、文章より表です。行に材質、列に加工、セルに○・要相談・×の3値と、サイズの目安を入れます。以下は架空の例です。

材質\加工切削板金・曲げ溶接表面処理
SUS304○ 最大φ200○ 板厚0.5〜6mm○ TIG要相談(協力先)
アルミ A5052○ 最大φ200○ 板厚0.5〜4mm○ TIG○ アルマイト(協力先)
S45C○ 最大φ200要相談○ 半自動○ 黒染め
チタン要相談×××
樹脂(POM等)○ 最大□150×××

「要相談」は、条件次第で受ける範囲に使います。全部を要相談にすると「何でも」と同じなので、○と×を先に決め、残りを要相談にします。×は隠さず書きます。チタンの溶接ができない会社に、チタンの溶接の問い合わせが来て断る往復は、双方の時間の損です。

表の下に、ロットと納期の目安を1行ずつ。「試作1個から。量産は月3,000個まで。試作の最短納期は図面受領から5営業日」。

断る条件を書くと、何が起きるか

熊本県で製造業の会社を経営している方が、求人で来てほしい人を絞って書いたところ、応募の数はかなり減ったが一人一人の質は上がった、と話していました(採用の話ですが、構造は同じです)。愛知県のネジのプレス加工の町工場が、扱う加工の中から「六角穴打ち加工」の1つに絞って打ち出して全国から受注した話も同じで、絞ることで届く相手が変わります。

対応範囲を書いた後に起きるのは、3つです。合わない問い合わせが減る。合う問い合わせの返信が速くなる。そして、「要相談」の範囲で来た問い合わせが、新しい仕事の種になる。要相談の欄に問い合わせが集まる材質や加工があれば、それは次に設備投資するか、協力先を探すかの判断材料です。

まとめ

  1. 設計者は「既存で対応できないとき」に、材料名×加工名×条件で探す。「何でも」は候補に入らない
  2. 範囲を書かないと合わない問い合わせが来て、本命への返信が遅れる
  3. 書くのは、材質、サイズ、精度、ロット、納期、図面形式、一貫生産の範囲、受けない条件の8つ
  4. 材質×加工の表で、○・要相談・×の3値。×は隠さない
  5. 絞ると、合う問い合わせだけが残り、要相談の欄が次の投資の判断材料になる

製造業の会社のためのホームページ制作サービス「製造WEB」では、対応範囲のページを上の表の型で作り、担当者が現場に材質・サイズ・精度・ロット・納期を聞き取って埋めます。設備の入れ替えや協力先の変更に合わせた表の更新も月額に含みます。「何でもご相談ください」の一文を書き換えたい会社は、ご相談ください。

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