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製造業の中途採用|経験者は市場に少ない。応募者が見ている「設備」と「教え方」

製造業の中途採用

「中途で即戦力が欲しい」。製造業の会社の求人は、ほとんどがこの一言から始まります。ただ、経験者はどれだけ市場にいて、その人たちは何を基準に会社を選んでいるのか。この記事では、国と民間の最新の統計で市場を確かめ、転職者が前職を辞めた理由から選ぶ基準を読み、経験者と未経験者で見ているものがどう違うかを整理して、会社側が用意することを書きます。

数字: 中小の6割が確保できず。製造業は「動く人」が少ない

リクルートワークス研究所の調査では、2025年度上半期に中途採用で必要な人数を「確保できなかった」企業は56.6%、「確保できた」は41.5%でした。2021年度以降、5年連続で「できなかった」が上回っています。従業員5〜299人の企業では「確保できなかった」が59.6%。製造業は55.2%で、機械器具製造業に限ると57.7%です(「中途採用実態調査」2026年2月、4,071社)。

中途採用で必要な人数を確保できなかった企業の割合

もう1つ、製造業に特有の数字があります。厚生労働省の雇用動向調査(2025年上半期)で、全産業の入職率は8.9%、離職率は8.1%ですが、製造業は入職率5.5%、離職率5.0%です。宿泊・飲食の15.0%・13.1%と比べると、製造業は人の出入りが少ない業種です。裏を返すと、製造業の経験者は、辞めて転職市場に出てくる人が少ない。「即戦力」を求人サイトで待っていても、そもそも母数が小さいということです。同じ調査で、転職して賃金が前職より増えた人は39.4%、減った人は31.5%でした。経験者が動くとき、4割は賃金が上がる転職をしています。

一方で、応募が全く来ないわけでもありません。日本政策金融公庫の調査では、中途採用で応募者数が採用予定数を超えた中小企業は63.0%(従業員49人以下でも56.0%)でした。応募はあるが、採りたい人ではない。中途採用の問題は、数よりもミスマッチにあります。

辞めた理由の裏返しが、次を選ぶ基準

転職者が前職を辞めた理由の最新ランキング(2024年7月〜2025年6月に転職した正社員978名、doda 2025年8月)は、1位「給与が低い・昇給が見込めない」36.6%、2位「労働時間に不満(残業が多い・休日出勤)」26.3%、3位「個人の成果で評価されない」22.8%、4位「尊敬できる人がいない」20.9%、5位「社内の雰囲気が悪い」20.7%、6位「人間関係が悪い」20.2%でした。

この6つは、そのまま次の会社を見る基準になります。給与と労働時間は、求人票の条件です。ここは正直に書く以外にありません。差がつくのは3位以下です。「成果で評価されるか」「尊敬できる人がいるか」「雰囲気はどうか」は、求人票には書けません。採用ページに、評価の仕組み(技能検定の合格で手当が付く、など)と、一緒に働く人の話を具体的に載せることで、初めて伝わります。転職者の90.3%は応募前に採用ページを見ています。

経験者と未経験者は、見ているものが違う

製造業の中途採用は、経験者と未経験者で、求人票も採用ページも中身を変えたほうがうまくいきます。

経験者が見るのは、設備と、加工の中身です。どんな機械があり、どんな材質と精度で、何を作っているか。自分の技術がそこで活きるか、いまの会社より良い仕事ができるか。設備一覧が型番だけ、加工内容が「金属加工全般」の会社には、経験者は反応しません。設備ページに「この機械で、この材質を、この精度で」まで書きます。金属加工の職種は求人倍率2倍超で求職者が少ない一方、機械組立は0.78倍で求職者のほうが多い、という職種差も見ておきます(「ハローワークで製造業の求人が埋まらない理由」の記事)。

未経験者が見るのは、教え方と、体力です。最初の1週間に何をするか、誰が教えるか、一人立ちまでの目安、重いものを扱うか、立ち仕事の時間、空調。日本政策金融公庫の調査で、中小企業が募集で工夫したことの2位は「未経験・無資格者の積極的な採用」37.2%でした。ただ、製造業の採用支援者が話していたとおり、間口を広げるだけでは合わない人が入り、教える側が疲れて辞めます(「製造業の採用で応募が来ない5つの理由」の記事)。未経験者を採るなら、「教える順番」を先に決めて、それを採用ページに書きます。

応募者は、面接の準備をして来る

転職支援者が工場に転職する人向けに出している動画では、工場の面接は比較的受かりやすいが、落ちる人には原因がある、として、自己紹介、退職理由、志望動機、健康管理の答え方を1つずつ解説していました。応募者は、こうした動画で準備をして面接に来ます(YouTube「工場面接でよく聞かれる質問と解答例」)。

会社側はどうでしょうか。応募者から必ず聞かれるのは、「一日の流れ」「残業の実際」「教えてもらえるか」「どんな人がいるか」です。面接で初めて答えを考えている会社と、採用ページにすでに書いてあって面接では確認だけの会社では、応募者から見た印象が違います。応募者が準備しているのと同じだけ、会社側も答えを用意しておきます。

中小の「規模の小ささ」は、正直に書けば強み

大手メーカーの技術職から中小企業に転職した人が、自分の体験を動画で話していました。大手では現場をまとめる力と即断、設計図の作成まで求められるマルチタスクで、自分に合わなかった。中小に移って、求められる水準が下がって精神的に楽になり、人間関係をゼロからやり直せた。残業が減って年収は下がったが、体調が良くなり、勉強する時間ができた、と(YouTube「逃げで転職したら失敗するのか」。一人の体験です)。

中小企業の採用ページは、大手と同じ土俵で「福利厚生が充実」「成長できる環境」と書きがちです。しかし、この人が選んだ理由は、規模が小さいこと、残業が少ないこと、任される範囲が明確なことでした。転職理由の2位が労働時間、4位が「尊敬できる人がいない」、5位が「雰囲気」だったことを思い出してください。残業の実際の時間、社長や現場の責任者がどんな人か、休憩室で何を話しているか。中小だから書けることを、そのまま書きます。

やること5つ

  1. 経験者向けと未経験者向けで、求人票と採用ページの中身を分ける。経験者には設備と加工の中身、未経験者には教える順番と体力の実際
  2. 給与と労働時間は求人票に正直に。評価の仕組みと一緒に働く人は、採用ページに具体で
  3. 面接で聞かれること(一日の流れ・残業・教え方・人)の答えを、採用ページに先に書いておく
  4. 経験者は待っていても来ない前提で、紹介と、会社名検索で見つかる状態を作る(「製造業の採用で応募が来ない5つの理由」の記事)
  5. 中小の規模の小ささ、残業の少なさ、任される範囲を、隠さず書く

製造業の会社のためのホームページ制作サービス「製造WEB」では、経験者向けの設備・加工ページと、未経験者向けの採用ページを分けて作ります。募集する職種が変わるたびに内容を直す作業も続けて担当します。「即戦力が来ない」で止まっている会社は、経験者と未経験者のどちらを採るかを決めるところから、ご相談ください。

ホームページのつくり直し、採用ページの新設をお考えですか?製造WEBは、製造業の会社のためのホームページ制作サービスです。取材と原稿づくりから、公開後の更新まで担当します。

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