求人票に写真を10枚まで載せられること、写真を載せたハローワークで充足率が約2倍になった例があることは「ハローワークで製造業の求人が埋まらない理由」の記事に書きました。では、何を撮ればいいのか。プロに頼まず、スマートフォンで撮る前提で、順番に書きます。
誰が、何を見る写真か
工場の写真を見るのは3種類の人で、見ている場所が違います。
求職者が見るのは、通路に物が置かれていないか、工具が定位置にあるか、空調があるか、休憩室はどうか、どんな人が働いているか。製造業で働いたことがない人の76.2%は「軽作業だとは思わない」という調査があり、体力勝負・きつい、という先入観を写真1枚で確かめに来ます。
発注先を探す設計者や調達担当が見るのは、設備と製品です。大手メーカーの設計者への聞き取りでは、製品写真は1点ずつより集合写真を好む、という回答がありました(「製造業のBtoBサイト制作」の記事)。
高卒採用では、親と先生が見ます。建物の外観(面接や見学に来るときの目印)、安全に配慮されているかが分かる現場。
つまり、撮る写真は求職者向け・取引先向け・親と先生向けで少しずつ違います。1回の撮影でこの3種類を押さえます。
各媒体の要件
同じ写真を使う4か所の要件です。
- 採用ページ: 制作ツールによりますが、横1,500ピクセル程度あれば足ります
- ハローワークの画像情報: 1事業所10ファイル、1ファイル2MB、JPEG/GIF/PNG/BMP、各写真に30字のタイトル。建物外観・事業所内・使用機械・製造品・作業風景・会社案内・ロゴが対象(石川労働局・岐阜労働局の案内)
- Googleビジネスプロフィール: JPGまたはPNG、10KB〜5MB、縦横720ピクセル以上、ピントが合って十分な明るさ、大幅な加工や過度のフィルタは避ける。動画は30秒以内(Google ヘルプ)
- SNS: 正方形か縦長で切り出せる余白を残して撮る
スマートフォンで普通に撮れば、どれも満たします。
撮る7カット
撮影の前に、撮るもののリストを作ります。採用サイトの制作会社が「香盤表」と呼んで必ず作っているものです。工場なら次の7つで足ります。
- 建物の外観と入口(看板が読める距離で。面接に来る人の目印)
- 工場内の通路(片付いていることが伝わる引きの1枚)
- 主な設備(1台ずつ。設備名が分かるように)
- 作業中の手元(何を、どう作っているか。顔が写らなくてもよい)
- 製品(1点より、種類を並べた集合写真)
- 休憩室と更衣室、洗面台(求職者が実際に見たい場所)
- 人(作業中の横顔、休憩中の会話。製造業の社長が「休憩中にコーヒーを飲みながら話している姿をそのまま」と言っていたもの)
1枚ごとに「何が分かる写真か」を一文添えられるように撮ります。「工場内」ではなく「NC旋盤3台。日中は2人で担当」のように。
プロのコツを、スマートフォン向けに5つ
プロカメラマンが初心者向けに書いた記事と、取材撮影を独学した広報担当者の動画から、スマートフォンでそのまま使えるものだけを抜き出します。
- 明るく撮る。初心者の最大の失敗は「暗い」ことで、露出(明るさ)をプラスに補正するだけで劇的によくなる、とプロが書いています。スマートフォンなら、画面を長押しして出る太陽マークを上に動かします
- 蛍光灯やダウンライトの真下に人を立たせない。目の下と鼻の下に影ができて疲れた印象になります。少し離すか、窓の近くで日中に撮ります。逆光ならブラインドを下げます
- 撮る前に、名札を外してもらい、飲み物・携帯・ケーブルを片付ける。背景のポスターやホワイトボードは、映してよいか確認します
- ただし、片付けすぎない。採用サイトの制作会社が「派手な私物やケーブルを片付けてしまうと写真としてはスッキリするが、仕事場としてのリアルさがなくなる」と書いているとおり、業務に必要な物は残します。レイアウトを動かす前に、元に戻すための写真を1枚撮っておきます
- 撮る前に「こういう感じで撮ります」と伝える。慣れていない社員は緊張して表情が固くなるので、先にイメージを共有し、撮影中も声をかけます。人物のモデルは、入社してほしい人物像に近い社員に頼みます
前日に充電と空き容量を確認し、レンズを拭いておきます。これだけで、撮り直しが減ります。
写り込みの確認
撮った写真は、載せる前に拡大して確認します。名札、机の上の書類、パソコンの画面、車両のナンバー、そして製造業に特有のものとして、取引先の製品、図面、納品書、取引先名の入った箱や治具。取引先との秘密保持に関わるものが写っていると、採用より先に取引の問題になります。ホワイトボードの予定表も同じです。
従業員の同意と、退職後の扱い
人が写る写真には、本人の同意が要ります。社会保険労務士の解説では、個人が特定できる写真は個人情報保護法の対象で、取得・利用の目的を就業規則に記載して社員から同意を得ること、退職後も掲載し続けるのは当初の利用目的を超えること、削除の請求があれば遅滞なく対応すること、が挙げられています(社会保険労務士法人 古田土人事労務ほか。法令に関わるので、自社の顧問社労士に確認してください)。
実務では、次の3つを決めておきます。載せる媒体と範囲(採用ページ・ハローワーク・Google・SNS)を明記した書面で同意を取る。退職時に、掲載を続けてよいか本人に確認する。退職した人の写真をいつ消すかを、載せる前に決めておく。同意しない社員に不利益がないようにするのは当然です。作業中の手元や後ろ姿なら、顔が写らないので同意の負担が軽くなります。
1回撮って、4か所に使う
7カットを撮って、写り込みを確認し、同意を取ったら、採用ページ、ハローワークの画像情報、Googleビジネスプロフィール、SNSの4か所に同じ写真を載せます。求人票を見た人が会社名で検索したとき、Googleの写真と採用ページの写真が同じ現場なら、それだけで「実在する、動いている会社」に見えます。写真は半年に1度、設備が入ったとき、人が入ったときに足します。
まとめ
- 求職者は通路・休憩室・人を、設計者は設備と製品を、親と先生は外観と安全を見る
- 要件はGoogle(5MB・720px以上・明るくピント)とハローワーク(10枚・2MB)。スマートフォンで足りる
- 撮る7カット: 外観、通路、設備、手元、製品の集合、休憩室、人
- コツ5つ: 明るく、光の真下を避ける、名札と私物を片付ける、片付けすぎない、先にイメージを伝える
- 写り込み: 名札・書類・画面・ナンバー・取引先の製品と図面
- 同意は書面、退職時に確認、消す日を決めておく
製造業の会社のためのホームページ制作サービス「製造WEB」では、担当者が現場をうかがって、この7カットを撮り、採用ページとGoogleビジネスプロフィールに載せるところまで一緒に行います。設備や人が変わったときの撮り直しも続けて担当します。自分で撮った写真を見てほしい会社も、ご相談ください。
