ニュースで「有効求人倍率1.18倍」と聞いても、自社の職種で何倍なのかは分かりません。この記事は、厚生労働省が毎月末に公表する「一般職業紹介状況」から、製造業に関わる職種の倍率を抜き出して、毎月更新する定点記事です。最終更新: 2026年8月28日公表の2026年7月分。
全体の数字(2026年7月)
有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で前月と同水準、新規求人倍率は2.10倍(前月比−0.06)、正社員の有効求人倍率は1.00倍で前月と同水準でした。有効求人は前月比0.1%減、有効求職者は0.6%増。新規求人は前年同月比0.8%減ですが、製造業の新規求人は前年同月比6.8%増でした(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」)。年度で見ると、2025年度平均は1.20倍で、前年度の1.25倍から下がっています。
正社員に限ると1.00倍。求職者1人に正社員の求人がちょうど1件、という水準まで来ています。
製造業に関わる職種別(2026年7月・常用・パート含む・全国)
| 職種 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 全職業 | 1.05倍 |
| 生産工程の職業(全体) | 1.59倍 |
| 製品製造・加工処理(金属製品) | 2.11倍 |
| 製品製造・加工処理(金属製品以外) | 1.60倍 |
| 機械組立 | 0.90倍 |
| 機械組立設備の制御・監視 | 1.06倍 |
| 機械整備・修理 | 3.88倍 |
| 製品検査(金属製品) | 1.14倍 |
| 製品検査(金属製品以外) | 1.71倍 |
| 輸送・機械運転 | 2.06倍 |
| 建設・採掘(参考) | 4.99倍 |
| 運搬・清掃・包装(参考) | 0.65倍 |
(厚生労働省 同上 参考統計表。原数値。季節調整はしていない)
生産工程の職業の7月の新規求人は75,278件、就職件数は9,740件で、充足率は12.9%です。ハローワークの求人の9割近くが埋まっていない構造は、この月も変わっていません(「ハローワークで製造業の求人が埋まらない理由」の記事)。
半年前(2025年12月)と比べると、生産工程全体は1.61倍→1.59倍、金属製品の製造は2.07倍→2.11倍、機械組立は0.78倍→0.90倍、機械整備・修理は4.29倍→3.88倍でした。大きな流れは変わっていません。
読み方: 3つ
1. 1倍の意味
有効求人倍率は、ハローワークの求職者1人に対して求人が何件あるか、です。1倍なら1人に1件、2倍なら1人に2件(会社側から見ると、求人2件で1人を取り合う)、0.9倍なら求人より求職者のほうが多い。金属製品の製造・加工は2.11倍なので、応募が来ないのは書き方の前に、探している人が半分しかいないからです。逆に機械組立は0.90倍で、求職者のほうが多い。同じ製造業でも、打つ手が違います。
2. 「1.18倍」と「1.05倍」は別の数字
ニュースの1.18倍は季節調整値(月ごとの季節変動をならした数字)で、上の表の1.05倍は原数値でパートを含む常用の数字です。職業別は原数値でしか公表されないので、全体との比較は同じ表の「全職業1.05倍」とします。1.18と2.11を並べて「製造業は2倍」と言うのは、比べる相手を間違えています。
3. 倍率は、年5人採る会社には関係ない、という見方
元大手飲食チェーンの採用責任者が、有効求人倍率は年に数千人を採る会社の話で、年5人採る会社には関係ない、媒体会社が商品を売るために出している数字だ、と話していました(飲食業の話ですが、製造業の中小にも当てはまります)。倍率が高くても、地域で5人に選ばれれば足ります。倍率は市場の風向きを知る数字で、自社の採用を決める数字ではありません。
自社の求人に落とす3ステップ
- 上の表で、自社の職種の倍率を見る。求人票の職種名がどの分類に当たるかは、ハローワークの求人票の「職種」欄の分類コードで確かめられます
- 倍率が高い職種(金属製品の製造、機械整備・修理)なら、数少ない求職者に「選ばれる情報」を出す。仕事の中身、教える順番、設備、現場の写真(「製造業の採用サイト制作」の記事)。倍率が低い職種(機械組立、検査)なら、他社の求人票と並べて比べられる前提で、条件と中身を正直に書く(「製造業の中途採用」の記事)
- 毎月、この記事で数字を確認する。半年で0.1〜0.4倍動きます。募集していない時期に求人票と採用ページを直しておくと、募集するときに慌てません
更新の予定
厚生労働省の一般職業紹介状況は、毎月末に前月分が公表されます。次回は2026年8月分(9月末公表予定)で、この記事の表を差し替えます。年度の平均と充足率は、翌年4月末の年度分の公表で更新します。
製造業の会社のためのホームページ制作サービス「製造WEB」では、自社の職種の倍率に合わせて、採用ページの中身(選ばれる情報か、比べられて負けない情報か)を組み立てます。この定点記事と同じ頻度で求人の見せ方を見直します。自社の職種が表のどれに当たるか分からない会社は、ご相談ください。
